新規事業の狙い目を見つける究極ガイド

新規事業で成功するためには、市場動向や顧客ニーズの「狙い目」を綿密に把握し、自社の強みと掛け合わせる視点が不可欠です。柔軟な発想とデータドリブンな意思決定、それに加えて迅速な市場投入と顧客フィードバックの活用を展開することにより、リスクを抑えながら競争優位を築くことができるようになります。さらに、異業種の連携や参入によって顧客のニーズを掴むことや、眼前にある社会課題に対する効果的な取り組みを通じて新たな機会を生み出すことは、企業にとって持続的な成長のエンジンとなるでしょう。

新規事業の狙い目と見つけ方

新規事業を成功させるためには、市場の動向や顧客ニーズを的確に捉えることが欠かせません。既存のビジネスモデルに囚われない「新たな狙い目」を発掘し、柔軟かつ機動力のある冒険的な組織へと成長させることで、競争優位を確立できます。

まずは自社の強みを再確認し、市場での空白や未開拓分野を見つけることがカギです。これにより、リスクを抑えつつ効率的に新規事業を推進できます。成功のポイントは柔軟な発想と、データドリブンな意思決定です。

新規事業の狙い目を見つける基礎知識

新規事業を展開する第一歩として、市場リサーチが重要です。競合状況や顧客ニーズを正確に把握し、どの領域に自社のリソースを集中投下すべきかを見極めましょう。

あわせて、自社が持つ技術・人的資源・ブランド力などの強みとの「親和性」を考慮することも欠かせません。これらの基礎知識を踏まえることで、より的確な“狙い目”を見つけられるようになります。

新規事業とは

新規事業とは、既存のビジネスモデルやサービスとは異なる価値を創出し、新たな市場や顧客層を開拓する取り組みを指します。企業が継続的に成長していくうえで、従来の枠組みにとらわれないチャレンジは不可欠です。

また、競争環境や顧客ニーズの変化に合わせて、既存のリソースや技術を応用する柔軟性も求められます。成功した新規事業は、企業の収益基盤を拡充するとともに、次の成長エンジンとなる可能性を秘めています。

新規事業の狙い目とは

新規事業の狙い目とは、高い成長が期待でき、かつ顧客ニーズのある領域を指します。競合が少ない市場であれば、リスクを抑えつつ高いリターンが狙えるでしょう。

特に、デジタル技術の進化やライフスタイルの変化は新規ビジネスの好機です。たとえば、サステナビリティや健康志向への関心が高まる中、環境配慮型サービスや健康関連の製品・サービス市場は拡大傾向にあります。※

このように、市場の潮流を的確に捉えた新規事業の狙い目を押さえることが、将来の成功を左右するのです。

※国際エネルギー機関(IEA)「World Energy Outlook 2022」

成功する新規事業の狙い目を探す方法

新規事業の狙い目を発掘するには、複数のアプローチが存在します。まずは入念な市場調査でトレンドや顧客ニーズを把握すること。次に、自社の強みと競合の弱みを洗い出し、“提供できる独自価値”を見極めることが不可欠です。

成功を収めている新規事業はいずれも、顧客の期待を上回る製品やサービスを提供しています。そこに至るためにも、以下の手法を参考に探究を進めてください。

既存事業からの発展

既存事業の延長線上で新規事業を開花させるのは、有効な方法の一つです。自社がすでに築いてきた顧客基盤や技術を活かしながら、新たな商品・サービスを開発できるため、参入リスクを低減できます。

さらに、既存事業とのシナジー効果が期待できる領域を狙えば、スケールメリットやブランド力を最大限に活かすことが可能です。その結果、長期的な成長戦略にもつなげやすい利点があります。

市場の変化点の把握

市場の変化点を見極めることは、新規事業で大きな成果を上げるための重要なプロセスです。特に、顧客ニーズや競合動向が大きく変わるタイミングを捉えると、新規参入のチャンスを得やすくなります。

日頃から業界ニュースやリサーチレポート、統計データをウォッチしながら、顧客インサイトを掴むことが大切です。例えば、近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)によりBtoB取引のオンライン化が加速しており、関連ソリューションを提供する新規事業が注目を集めていますが、こうした内容が経済産業省のDXレポートに掲載されています。※ これらの報告を積極的にチェックすることにより、大きな潮目となるビジネスの動きを把握することが出来るのです。

※経済産業省「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」

異業種からの学び

異業種の成功事例やビジネスモデルから学ぶことで、新規事業のヒントを得られることが多々あります。まったく異なる業界の視点を取り入れることで、独創的なアイデアが生まれやすくなるのです。

また、異業種企業とのコラボレーションや提携を行うことで、自社の強みと相手企業のアセットを組み合わせ、新しい価値を創出できます。視野を広げる姿勢こそ、新規事業の成功確率を高める鍵といえるでしょう。

新技術の活用

イノベーティブな新技術をいち早く取り入れることは、新規事業の成功を加速させます。AIやビッグデータ分析に代表される先端技術は、顧客の行動分析や需要予測に役立ち、競合との差別化を生み出します。

製造業ではIoTを活用して工場のスマート化を実現する「スマートファクトリー」構想が進んでおり、効率的かつ高品質な生産体制を築く取り組みが注目を集めています。こうした最新技術の活用こそが、新規事業成功への近道となるでしょう。

新規事業の狙い目を見分ける基準

新規事業でどこに注力するかを判断する際は、いくつかの基準を設定すると効果的です。市場の成長性、顧客ニーズの大きさ、競合状況などを総合的に見極めることで、失敗リスクを減らしながら成功を狙うことができます。

競合が少ない市場

競合が少ない市場は、参入障壁が比較的低く、独自価値を打ち出しやすい点が魅力です。ニッチ市場を狙うことで、自社ならではの製品やサービスを提供し、高い収益性を確保できる可能性があります。

大手企業の強みとしては、豊富な資金力やブランド力を活用して早期の市場浸透を図りやすい点が挙げられます。とはいえ、市場規模や将来的な拡大余地もあわせて検討し、十分なリサーチを行うことが肝要です。

高い顧客ニーズ

新規事業を創出するうえで、高い顧客ニーズを捉えることは最優先事項です。顧客が抱える課題の解決にフォーカスした商品やサービスを提供することで、市場での存在感を高められます。

アンケートやインタビューを定期的に実施し、顧客の不満や要望を引き出すプロセスを組織的に取り入れましょう。そのうえで、得られたインサイトを競合分析や社内資源の状況と照らし合わせることが重要です。

自社の強みを活かせる分野

自社が持つ強みや独自技術を活かせる分野を狙うのは、確実性の高いアプローチです。自社が培ってきたノウハウやリソースは、ほかの企業が容易に真似できない大きなアドバンテージとなります。

たとえば製造業であれば、長年培った精密技術や品質管理のノウハウを、別の用途に転用できる可能性があります。自社の「強み」と「顧客ニーズ」を結びつける視点を持つことで、新規事業を成功へと導く確率が高まるのです。

社会的な必要性

社会的課題の解決に寄与する事業は、企業イメージの向上や長期的なビジネスチャンスにつながります。環境保護や高齢化といった社会課題は、その重要性が増すほど市場からの注目度も高まります。

近年では、SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みが企業にとって不可欠な要素となりつつあります。※ 自社の新規事業が社会の課題解決に寄与するものであれば、顧客や投資家からも支持を得やすくなるでしょう。

※国連「持続可能な開発目標(SDGs)公式サイト」

新規事業の狙い目に成功した事例

実際に新規事業で成果を出した企業の事例を知ることは、大いに参考になります。自社の強みをいかに活用し、市場の変化をどのように捉えたかを学ぶことで、新たなヒントが得られるでしょう。

オンラインサービス事業の成功例

オンラインサービスの成功例として、コロナ禍で需要が高まったフィットネス関連プラットフォームが挙げられます。たとえば、アメリカのPeloton社は自宅向けのオンライントレーニングを拡充し、2020年度には売上高が前年比で100%以上増加しました。これに伴って株価も350%以上上昇するという動きがあり、右肩上がりの急成長を遂げました。※

ただし、この成功事例には続きの話があります。「フィットネス界のアップル」とまで呼ばれるようになった同社でしたが、コロナ禍収束後に急激な停滞を強いられ、それに加えて販売製品の事故とリコール対応の不備などが生じた結果、現在では新規建設計画の中止やリストラなど大幅な事業縮小に至っています。この事業失速の根本的な要因は、コロナ禍収束後に人々がオンラインや在宅からリアルのジムに戻ったことによるとされています。リアルとオンラインの共存という顧客ニーズを的確に捉え、迅速に事業方針やサービスを調整できていれば、この事態は避けられたかもしれません。

※withnews「次のアップル、ネトフリ」と呼ばれた〝ユニコーン〟栄光と没落

新技術を取り入れた事業

新技術を活用した事業の代表例として、近年の電気自動車(EV)市場の急拡大があります。特にTeslaは、EVに加え自社開発のソフトウェアを組み合わせたビジネスモデルにより、世界的な評価を得ています。

また、日本の製造業でもIoTやAIを活用し、生産効率を大幅に高める「スマートファクトリー」化に成功している企業が増えています。新技術を積極導入することで、コスト削減や品質向上を同時に実現できる点が大きな魅力です。ただし、これらの先端技術を用いた事業も、先のPeloton社の事例のように市場や顧客ニーズの変化が掴めず、そこに提供するサービスやソリューションのズレが生じる可能性があります。市場を慎重に読み解く先見の明が必要です。

異業種からの参入成功例

異業種への参入で成功を収めた例として、製薬会社のロート社が機能性食品事業に進出したケースがあります。従来の製薬開発のノウハウを活かし、健康志向製品の開発に乗り出した結果、新たな顧客層を獲得し成長の礎を築きました。

このように、業界を越えたノウハウの融合は新たな価値創造につながります。自社の強みと異業種のアイデアを掛け合わせ、新市場へ参入することでビジネスチャンスを拡大できるのです。

狙い目を生かすための事業戦略

見出した“狙い目”を実際の事業として成功に導くには、戦略的な計画立案と運用が必須です。市場調査から得られるデータを活用し、組織全体で共通目標を共有する仕組みを整えることで、よりスムーズに新規事業を展開できます。

迅速な市場投入戦略

競合他社より早く市場に参入する“スピード”は、新規事業の大きな強みになります。アジャイル開発やプロトタイプの早期公開など、小さなサイクルでのテストと改善を繰り返すことで、顧客ニーズへの即時対応が可能です。

さらに、社内の意思決定プロセスを迅速化するために、フラットな組織体制やプロジェクトチーム制を導入する企業も増えています。スピード重視のアプローチを取り入れることで、競争が激しい市場でも存在感を確立できるでしょう。

顧客フィードバックの活用

顧客フィードバックを常に取り入れる姿勢は、新規事業の成功に不可欠です。実際の利用者からの声は、想定していなかった課題や改善点を教えてくれる貴重な情報源となります。

SNSやレビューサイト、あるいは定期的なアンケートやインタビューによって得られるフィードバックをもとに、サービスや製品をアップデートし続けることが重要です。顧客が求める価値に合致した改良を行うことで、競合との差別化を図れるでしょう。

柔軟なビジネスモデル

急速に変化する市場に対応するためには、柔軟なビジネスモデルが不可欠です。一度決めたモデルに固執するのではなく、適宜変更や拡張を行うことで、潜在的なビジネスチャンスを逃さずに済みます。

たとえば、定額サブスクリプション型サービスへの移行や、他社とのジョイントベンチャー設立など、さまざまな形態を試行錯誤することで最適解を模索できます。常に市場の変化を捉え、柔軟に対応する力が成果を左右するのです。

こうした柔軟なビジネスモデルを新規事業として軌道に乗せるためには、自社の中で「何のためにその事業を行うのか」「それは会社の方向性と合致しているか」を明確にする必要があります。経営層と新規事業チームがその点で認識をすり合わせ、上位戦略に合目的な(目的に合った)事業ビジョンを描くことが求められています。※

※『イノベーションの再現性を高める 新規事業開発マネジメント 不確実性をコントロールする戦略・組織・実行』(北嶋貴朗)

新規事業の狙い目を見つけるための外部リソース

新規事業開発では、自社内だけでなく外部からの情報やリソースを積極的に活用するのが得策です。専門的なコンサルティングや、他社とのネットワーク構築が新たなアイデアをもたらし、成功確率を高めます。

コンサルティング会社の活用

コンサルティング会社は、市場調査や戦略立案の専門家として頼りになる存在です。ターゲット市場の細分化や競合分析など、知見と経験を生かした提案を行ってくれるため、自社リソースだけでは気づけない視点を得られます。

また、事業実行フェーズにおいても、プロジェクト管理やリソース配分の最適化をサポートしてくれるため、社内チームがコア業務に集中しやすくなります。外部の意見を積極的に取り入れることで、より客観的かつ効果的な事業計画を構築できるでしょう。

オープンイノベーション

オープンイノベーションとは、社外との連携によって革新的なアイデアや技術を取り込み、新たな価値を創造する取り組みです。特に大手企業の場合、スタートアップや大学、研究機関との協業が大きな成果を生む可能性があります。

外部の知見を取り入れることで、自社では生まれなかった発想や開発スピードの向上が期待できます。市場の変化に迅速に対応するためにも、オープンイノベーションの積極的な活用が求められる時代です。

異業種コミュニティとの連携

異業種コミュニティとの連携は、既存の枠組みを超えた発想を得るための有力な手段です。各業界のプロフェッショナルが集う場で意見交換を行うことで、これまでにないビジネスアイデアや技術応用のヒントを得られます。

たとえば、コンビニ大手のローソンがAIを導入し、データ分析による需要予測を行うことで廃棄ロスを削減している事例もあります。※ このように、異なる領域の強みを掛け合わせることで、新規事業が生まれる可能性は大きく広がります。

※日本経済新聞「ローソン、AIで仕入れ誤差を3割改善 食品ロス削減へ」

まとめ

新規事業を成功させるうえで欠かせないのは、「狙い目」を正確に捉えることです。市場トレンドや顧客ニーズを丹念にリサーチし、自社の強みや社会的課題への取り組みを組み合わせることで、大きなビジネスチャンスが見えてきます。

競争が激化する現代において、柔軟な発想とデータを活用した意思決定こそが差別化のポイントです。スピード感をもって市場に投入し、顧客フィードバックを絶えず取り入れながら進化していく姿勢が、新規事業を成功へと導く原動力となるでしょう。

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